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2017/07/26

表裏ではなくA面とB面。

 ことしの夏休みの旅行者は前年度より増える見込みだという。大手旅行会社の予測だ。働き方改革の波及効果で休みが取りやすくなり、遠出への意欲が高まったとみる ▼いい兆しであるが、逆風も近づいている。政府が「残業代ゼロ法案」とも言われる高度プロフェッショナル制度の創設へと動く。高収入の一部の専門職について、1日8時間と定めた労働時間規制の枠を外す。労働者を守るこの8時間の枠も、政府にとっては経済成長を妨げる「岩盤規制」ということか。疑問は根強い ▼アナログレコードの魅力が見直されているという。CDなどのデジタル音源よりも音が柔らかく、耳に心地いい。ジャケットを眺め、溝に刻まれた世界に想像を広げる。そう言えば、レコードにはCDにはないA面とB面がある ▼表裏ではなくA面とB面。二つは午前と午後が続いてこそ完結する一日のようなもの。午前中は威勢のよいロックで始まるA面で、レコードをひっくり返すタイミングは昼休み。午後はしっとりとしたバラードで締めるB面だ。そして針を上げる。訪れる余韻の時間は、次の行動への小休止である ▼こんなメリハリが利いた一日を送ることができればいい。好きな音楽だけでなく、たまには目新しいものにも手を伸ばす。強いられることはない。自ら選択し、自分の時間に入り込む ▼いまレコードが求められているのは、息苦しさの裏返しなのか-。考えすぎかな、とは思いつつ、きょうもお気に入りのレコードに針を落とす。【新潟日報】日報抄 2017.7.24